千葉大学大学院医学研究院
アレルギー・臨床免疫学
千葉大学病院
アレルギー・膠原病内科
好酸球は白血球の一種であり、末梢血中の好酸球が増加する病気はアレルギー疾患、寄生虫感染症、悪性腫瘍など多岐にわたり、自然の寛解するものから予後不良のものまであります。
回虫症、条虫症などの寄生虫感染症に伴い好酸球は増加します。開発途上国への渡航歴、生肉、有機農法野菜などの摂取歴を確認します。
薬剤アレルギーは末梢血好酸球増多の原因として高頻度であり、疑わしき薬剤があれば中止します。
喘息では高度の好酸球増加を伴うことは稀なため、もし喘息患者に高度の末梢血好酸球増加を認めた際にはアレルギー性気管支肺アスペルギルス症や好酸球性肉芽腫性血管炎に注意する必要があります。
気管支喘息が先行し、末梢血好酸球増多とともに血管炎を生じる疾患であり、発熱、多発単神経炎(足のしびれ、麻痺など)、皮疹、中枢神経障害、消化管穿孔、腎障害などを認めます。血液検査では炎症反応陽性、好酸球の著しい増多、MPO-ANCA陽性 (約50%)、血清IgE高値を認めます。
アスペルギルスに対するアレルギー反応が発症に関与しています。高度の好酸球増多と中枢性気管支拡張を認めます。アスペルギルスに対するIgE抗体とIgG抗体が検出されます。
四肢に限局した浮腫を認めます。著明な末梢血好酸球増多にも関わらず臓器障害を伴わない疾患で、若年女性に多く、再発するepisodic型と再発しないnon-episodic型があります。日本ではnon-episodic型が多いとされています。2-8週で自然軽快傾向を認めるため無治療で経過観察することが多いですが、症状が強い場合には少—中等量のステロイドを投与します。
特発性好酸球増多症は、1)末梢血好酸球増多(1500/ul以上)が6ヶ月以上持続し(または、好酸球増多による臓器障害により6ヶ月以内に致死的となり)、2) 二次性好酸球増多症が否定され、3)好酸球浸潤による臓器障害(心臓、中枢神経、皮膚など)を伴う状態と定義されています。近年、その原因の一部が明らかとなり、それに基づき分類と治療法が確立されつつあります。
激しい運動を契機に四肢に対称性有痛性の筋膜炎が生じる疾患です。皮膚は強皮症様の所見を呈します。
PIE症候群、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、天疱瘡などの皮膚疾患、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、肺癌などの悪性疾患に伴って好酸球が増加することがあります。