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プログラム担当教員
学部課程から始める、壁を破った医学教育
博士課程ではすでに、国際的に通用する人材を育てるプログラムが走っているのですが、それとは別に、学部課程からしっかりと育成していこうというのがこのプログラムの狙いです。また、医師免許を取って臨床に出ていくのではなく、研究を深めていく医学修士の方々にも先進的な医学教育を行っていくことも、その眼目としています。こうした方向性には私自身、感銘を受けていますし、プログラムに参加するにあたり、ぜひお役に立ちたいとも思っています。
医療…人を治す、病気を治すということは、医学だけで完結できるものではありません。異なる分野の知識は、やはり必要になってきます。たとえば何らかの薬を新たに作る場合、医学の領域ではシーズまでは作ることができる。ですがそこから先は、別の領域に委ねることになる。つまりそこに領域の壁があるわけで、今回のプログラムではその壁を取り払った状態で、総合的に教育していこう、という形をとっています。
そのとき有益に働くのが、千葉大学が総合大学である、という点ですね。これは研究という面においてはもちろんですが、教育という面からみても、とても有効に働くものといえます。もちろん今までの教育システムが不十分だったというわけではありません。ですがそれ以上を目指すことから構築されたのが、このプログラムだと考えていいでしょう。
たとえば、このプログラムの中には英語でのプレゼン、ディベート演習といった講座があります。これは海外の医療機関や企業との円滑なコミュニケーションを想定したものですが、ここまでカリキュラムに組み込んでいる学校は、まずないでしょう。また創薬という講座もあります。医学研究を進めるにあたっても、将来的な創薬が視野に入っているかどうかで、その先の展開は異なります。シーズを元に、どのような薬を創っていけばよいのか…それは通常、薬学の領域ではありますが、シーズを見つける段階から薬学と連携していくことで、従来以上の成果を生み出すことができるはずだ。そうした観点から、こうした構成が組み上げられているのです。
これまで以上に手厚い早期教育を施す
一般に行われている医学教育というのは「医師を育てる」ためのものです。まず6年間の基礎的な医学教育があり、これが終わると通常は臨床研修が2年間、さらにその後に2年間の後期研修を行う。そこから大学院に入るとなると、すでに28歳になっている。大学病院でさらに1〜2年間修練を行うと、実際に研究の場に立てるのは30歳前後、ということになる。この時間差が、大変もったいないんです。もちろん年齢だけで良し悪しを決められるものではありませんが、やはり若い頭で早くから研究の現場に身を置くことは重要なことです。
そこで学部のうちから医療イノベーションを意識した教育を行い、また修士や博士課程ともプログラムを連携して研究への意識づけを早期から行う。それがこのプログラムのポイントです。
MDとして、臨床実習も含めて学問を修めるのは大切なことです。その後、医師になる人もいるでしょうし、基礎研究の道を選ぶ人もいるでしょう。ですが若いうちに研究に触れ、国際的にも広い視野と知識を身につけ、そのうえで臨床を経験するという順序を踏めば、卒業直後から身につけた知識や経験、実績を臨床にも活かすことができるのです。
千葉大学はもともと若手教育に関して、「飛び級入学」をいち早く採り入れるなど、さまざまな枠組みで門戸を開いてきました。このプログラムもそうした姿勢の積極的な表れだということができます。
充実した環境で推進するポストゲノムの最先端
ヒトゲノム情報が解読されて10年以上経ちますが、この間に模索されてきたのが「ゲノム情報を使って何をやるか」ということです。転写産物やその先で作られるたんぱく質については、すでに盛んに研究が進められていますが、もうひとつの研究対象の例として、われわれが扱っている「エピゲノム」が挙げられます。この10年ほどでずいぶんと進みました。
ゲノムは塩基配列の情報ですが、そのゲノムをコントロールする修飾因子がエピゲノムです。人間の体には多種多様な細胞がありますが、たとえば皮膚の細胞がなぜ皮膚細胞に分化していくのか。それはゲノム配列のどの部分を、どのように使うのかを、エピゲノムがコントロールしているからです。ですからエピゲノムに異常があれば、それによって何らかの疾患が発生したり、あるいは発生するリスクが高まったりする。そうしたことが解明されてきました。
つまりエピゲノムを究明することによって、さまざまな疾患の発生あるいは発生リスクを解き明かし、さらに診断と治療に応用していく…という道筋が見えてくるのです。
エピゲノムは現在、盛んに研究が進められている先端分野といえますし、千葉大学でも新しい解析機器などが着々と導入されつつあります。また「ゲノムを読む」という面からいえば、「ゲノム工学」というアプローチも重要ですから、きっちりとプログラムを組んで、必要な解析情報を読み取っていく仕組みも必要でしょう。これらさまざまな面で、これまで以上に研究環境が充実していけば、このプログラムに参加する学生諸君にとっても有意義なことでしょう。
できないことなど、何もない
学生の側から見た場合、このプログラムに参加するにあたっては、自分が「何をやりたいか」ということが重要になるでしょう。もちろん、自分の志向性を明確にもって「これをやりたい!」と言い切ることはなかなか難しいとは思います。ただ「できないことは何もないんだ」ということをまず知っていただきたいですね。
私の教室では癌を扱っていますので、癌についてはあれこれと教えることができる。また、癌をどのように研究していくかというツールについても、提供することができる。ですがこのプログラムは単独講座ではありませんので、さまざまな講座を聴講していくことになります。ですからそのなかで、自分なりのモチベーションを掴んでほしい。われわれが与えられるのは刺激であり、チャンスです。それらさまざまなチャンスのうち、自分が面白いと思えるもの、やりたいと思えるものを見つけていただきたいですね。
モチベーションを得られたなら、そこから先は、一つひとつのプロセスを着実に達成して、次のステップへ進んでいく。それが重要です。ゆっくりでかまいません。たとえ時間をかけてでも、それをイノベーションへとつなげていける…そうした人材を育てる、ということがこのプログラムの眼目なのですから。


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