研究
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研究内容

 〇 AFP産生腺癌の基礎的研究

Alpha-fetoprotein (AFP)は胎児期の血漿タンパクで、主に胎児肝細胞や卵黄嚢で産生されています。生後はalbuminに置換されほとんど産生されなくなりますが、成人では、肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍など特定の悪性腫瘍で産生されます。一般的な腺癌はAFPを産生しませんが、稀に腺癌がAFPを産生することがあります。病理組織学的にAFP産生腺癌は胎児消化管上皮細胞や肝細胞癌に類似しています。また一般的な腺癌より予後は極めて不良です。

当教室では、腺上皮細胞の肝細胞への分化転換がAFP産生腺癌の発生に関係していると考え、肝細胞形質や肝発生に関連する分子の意義や新たな治療ターゲットを求めて研究しています。

 

〇 上皮性悪性腫瘍の浸潤・転移に関する基礎的研究

浸潤性膵管癌(膵癌)、大腸管状腺癌(大腸癌)の浸潤・転移のメカニズムについて研究しています。上皮性悪性腫瘍の間質浸潤におけるbuddingや間質パターンが、転移再発や予後に重要な因子として再認識されています。当教室では、浸潤先進部の腫瘍細胞におけるタンパク質発現の変化と周囲間質からの影響に注目して研究を進めています。

 

〇 浸潤性膵管癌(膵癌)の臨床病理学的研究

膵臓の腫瘍の多くは浸潤性膵管癌(膵癌)と呼ばれる悪性腫瘍です。膵癌は消化器癌のなかで最も予後不良な悪性腫瘍です。当教室では膵癌の層別化治療へむけた臨床病理学的研究を行っています。多数の症例の外科切除標本の組織像を顕微鏡で詳細に検討し、これまでに膵癌の新たな特徴や前癌病変、さらに背景にある遺伝子異常についての研究をおこなっています。