概要
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疾患生命医学研究室へようこそ!

疾患生命医学では、「疾患モデルマウスを用いたミクロ分子からマクロ病態への解析」をテーマとしてバイオメディカル研究センターとの共同で以下のような課題で研究を行っています。

 

1.神経堤細胞の異常に起因する疾患の分子遺伝学的解析

神経堤細胞は胎生期に神経管背側より発生し、全身を移動し腸管神経細胞、交感神経系、皮膚メラニン色素細胞、副腎髄 質などへと分化します。これらの細胞の発生、分化異常により、ヒルシュスプルング病およびその類縁疾患、神経芽細胞腫などの疾患が発症します。私たちは神経堤細胞に特異的に発現する遺伝子Ncxのノックアウトマウスを作製し ヒルシュスプルング病類縁疾患のモデルマウスであることを報告してきました。現在 神経堤細胞で発現する遺伝子に注目し、そのノックアウトマウスの解析から神経堤細胞の異常に起因する疾患(Neurocristopathy)のなりたちについて明らかにしようとしています。

 

2.腸管神経系と腸管免疫系の相互作用

消化管においては腸内細菌と免疫系の相互作用により消化管免疫系細胞の分化、恒常性が制御されていることが最近の消化管免疫の研究より明らかになっています。一方消化管には全身の神経細胞の約半数が存在するといわれ 第二の脳とも言われています。私たちは腸管神経と腸管免疫系および腸管バリア機構に着目し 腸管神経系に異常をきたす遺伝子組み換えマウスを用いて腸管神経が腸管免疫系、腸内フローラおよび腸管上皮バリア機構に及ぼす相互作用についての解析を行っています。

 

3.p38の病態生理的役割の解明

p38 MAPK(mitogen-activated protein kinase)は、ストレスや炎症性サイトカインにより活性化されるMAPKファミリーであり、別名、stress-activated protein kinase(SAPK)とも呼ばれています。p38は炎症性サイトカインやケモカインの産生制御に深く関わっており、炎症性疾患の創薬ターゲットとして注目を集めています。我々は、p38ノックアウトマウスおよびトランスジェニックマウスを用いて、様々な炎症性疾患におけるp38の関与様式を探るとともに、特に、根治療法の存在しない疾患の新たな治療法を探るべく研究を行っています。

 

4. 遺伝子組み換えマウスを用いた細胞増殖・分化の分子機構の解析

個体発生胎生期における細胞増殖制御のしくみ、肺胞形成の分子機構などについて遺伝子組み換えマウスを用いて分子生物学的、細胞生物学的解析を行っています。

 

 

5.神経変性疾患におけるカルシウムチャネルの機能

 

6.転写因子機能調節による免疫応答制御

免疫後のリンパ球の活性化、分化には様々な転写因子が関与しています。私たちはBcl6が記憶T細胞の分化、胚中心B細胞の分化、樹状細胞の分化に重要であることを明らかにしてきました。さらに疾患モデルを用いて生理的、病理的な機能を明らかにするとともに、疾患治療応用へ繋がる研究を目指しています。