病気について

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全身性強皮症

はじめに

 全身性強皮症は皮膚や内蔵の硬化を特徴として、慢性に経過する疾患です。

 この硬化の程度や進行は患者さんごとで様々ですが、発症から5年から6年以内は進行することが多いようです。

 全身性強皮症には、典型的な症状が出現する『びまん型全身性強皮症』と進行がほとんど認められず比較的軽症な『限局型全身性強皮症』の2つのタイプがあります。

 この病気は女性に多く(男女比1:9)、30~50歳の女性に好発するとされています。

 ごく稀に小児期に発症することや70歳以降の高齢者に発症することがあります。

全身性強皮症の原因

 原因は不明ですが、免疫異常、線維化異常、血管異常の3つの異常が関与していると考えられています。

 遺伝性疾患ではありませんが、強皮症が発症しやすくなる遺伝的素因は存在すると考えられています。

 また環境因子も発症に関係するとされています。

 シリコン等の異物を体に入れることによって全身性強皮症に類似した病気が起こることもあります。

全身性強皮症の症状

  1. レイノー症状:
    冷たいものにふれると手や指が蒼白になったり、紫色になったりする症状で初発症状として最も多いものです。
  2. 皮膚硬化:
    初期には手指が腫れたような感じになり、こわばり感を自覚する人もいます。典型例ではその後、手背、前腕、上腕、躯幹に皮膚硬化が進みます。限局型全身性強皮症では躯幹(いわゆる「胴体」の部分です)の硬化はきわめて稀です。ほかに爪のあま皮の黒い出血点、指先にできる潰瘍、皮膚の黒ずみなどが認められることがあります。
  3. 関節・筋症状:
    関節痛が認められることがあります。また筋力の低下を来すような筋の炎症を伴うこともあります。
  4. 呼吸器症状:
    肺の組織が線維化し、肺線維症や肺血管の圧が上昇する肺高血圧が出現することがあります。症状としては空咳(肺線維症)や息切れです。
  5. 消化器症状:
    比較的多いのが逆流性食道炎で食道の硬化が原因で胃酸の逆流が起き、胸焼けや胸のつかえ感が出現します。また腸管の動きが低下することにより、便秘や下痢を生じやすくなります。
  6. 腎病変:
    腎臓の血管に障害が起こり、急激な高血圧を生じます。その結果頭痛や吐き気が生ずることがあります。
  7. 心病変:
    心臓の線維化により不整脈や心臓の機能の低下を来すことがあります。

治療

 現在のところ根本的な治療法は確立されていません。

 それぞれの病状や症状にあった治療を行います。病態によってはステロイド剤や免疫抑制薬を使用することがあります。

 治療に関しては主治医とよく相談して方針を決定してください。