ウェルナー症候群

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ウェルナー症候群レジストリ

 レジストリ(疾患登録システム)とは、ある特定の疾患に罹患した方を登録し、(1)患者数、患者分布の把握し、(2)疾患に関する様々なデータ(臨床所見、検査データ、治療内容、予後など)を調査し、(3)治験、臨床研究への患者リクルートを行うための研究手法です。これにより疾患の理解や医療の向上、新しい治療方法の開発に役立てます。
 患者数が少ないいわゆる希少疾患の実態把握のためには、患者情報の集約が重要であり、このレジストリ研究が有用です。ウェルナー症候群レジストリ以外にも様々な疾患のレジストリが存在しています。ユニークな一例としては、米国のものですがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用した患者主体型のレジストリであるPatients Like Me(https://www.patientslikeme.com/)という筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象としたものがあります。また希少疾患に限らず、近年米国や欧州では循環器疾患などの分野を中心に、これまでの大規模臨床試験からレジストリ研究にシフトする動きもあります。
 ウェルナー症候群は日本において推定患者数が2,000人、実際に明らかとなっている患者数が約300人と患者数の少ない疾患です。本レジストリにより遺伝子診断情報を含めたデータの集積と解析を行い、患者様とこの疾患に関わる皆様に役立つエビデンスを創生することを目的にして、倫理委員会の承認を得たのち、法規に従った上で、2016年4月より運用を開始し、全国の病院の皆様に御協力頂いた上で、症例登録および調査を行っております。
 ウェルナー症候群の患者様の多くが下肢の難治性潰瘍の治療に難渋されることから、大阪大学が中心になって行う下肢潰瘍の新規治療薬の医師主導治験(http://www.cgt.med.osaka-u.ac.jp/vme/research_02.html)や他施設と共同で行っているiPS細胞を用いた研究への参加症例のリクルートにも活用しています。