教室紹介

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教授挨拶

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横手 幸太郎 教授

~コロナ後へ向け世界とつながる内科学の発展を期して~

この2年余り、新型コロナウイルスのパンデミックやウクライナ・ロシア戦争など、想像を超える出来事に世界は見舞われ、医療にも多くの変化を生じました。コロナの流行がこれほど長期にわたることを当初から予想した人は少なかったと思いますが、ワクチン接種が進み、欧米に続いて日本でも、少しずつ元の生活へ回帰する兆しが見えてきたのは嬉しい限りです。

千葉大学病院で、糖尿病・代謝・内分泌内科、血液内科、高齢者医療センターの診療を担う当教室では、この間に新たな役割を認識しました。高齢者や糖尿病、そして肥満は、コロナ感染の重症化リスクであることが明らかとなり、適切な診療と予防の重要性がさらに高まっています。加えて、外出控えに伴う生活習慣病の悪化を防いだり、フレイルを予防するための指導も、我々に課せられた新たな使命と言えます。オンライン診療や生活習慣改善アプリ、糖尿病患者では新たな持続血糖モニタリングデバイスなどの活用も、今後さらに進むことでしょう。血液内科では、withコロナの状況下でも最先端の診療を実践できるノウハウを確立し、千葉県で唯一の施設としてCAR-T療法にも取り組んでいます。

全身疾患を対象とする当科は、前身である「第二内科」の伝統に基づいて「specialistである前にgeneralistであれ」をモットーとしています。温かい心をもって患者さんに接し、自身の専門領域については最新の高度な医療を実践、専門外の病気は最適な専門家へと紹介することのできる「総合的な」内科専門医を育む環境を、県内外の良質な連携病院と協力しながら提供します。

専門医制度の改革に伴い、旧来の糖尿病専門医と内分泌代謝科専門医が合体することになりました。これらの分野を志す内科専攻医の皆さんは、今後、「内分泌代謝・糖尿病内科(領域)専門医」の研修を行います。当教室は、糖尿病・内分泌疾患・代謝疾患のすべてを扱い、千葉県全域から多くの症例が紹介されてくることから、最短期間で専門医を取得できるプログラムを用意しています。効率的かつ深く専門研修を行い、その後は、自身の希望に応じたキャリアパスに沿って、基礎研究や臨床研究、さらなる臨床修練、海外留学などを選択することが可能です。

現代の医療は、過去に得られたエビデンスやそれに基づき策定されたガイドラインに則って行われます。しかし、それだけでは、治療や検査法の確立していない疾患を克服することができません。我々は、50年後の医学を見据え、基礎研究・臨床研究・国際共同治験などを通じて新たな治療手段の開発に取り組み、エビデンスやガイドラインを使うだけでなく「創る」ことを目指し、ポストコロナの世界を自ら切り拓いていきたく思います。

このような研究と診療、教育を実践し、持続的に発展させるためには、多様な価値観や背景を尊重することが大切です。例えば、学会の専門医取得を目指す人はもちろん、研究で世界を驚かす発見をしてみたい人、子育てをしながら可能な時間に診療を行う女医さん、大学院へ進む人・進まない人など、バラエティーに富んだ興味や個性を歓迎します。そのような仲間が日本各地から集まってこそ、時代や環境の変化に応じて、真に患者さんの役に立つ医療や研究を実現することができます。

そして、この多様性、公平性と包摂性(=diversity, equity & inclusion)は、2024年度から法律に基づいて実施される医師の時間外労働規制、いわゆる“働き方改革”とも密接に関わります。すなわち、高度成長期の日本のように、ただがむしゃらに働くのではなく、医師という職業が、やりがいをもって無理なく健康に従事できる魅力的なものであるための、仕組みと環境づくりを率先していきます。

Withコロナの時代でも、活躍の場は世界中へと拡がっています。現在も多くの仲間が欧米の大学への留学し、海外の学会にもアクティブに参加しています。また、オンライン環境の充実により、国内外の医師・研究者によるWEBセミナーを定期的に実施し、必要に応じて自宅からも参加できるようになりました。

コロナに伴う医療逼迫を経験し、ウクライナの事変を見聞して、それまで我々が日常的に享受してきた最新医学の修得や実践、好きな研究を自由に行うことができる環境が、当たり前のものではないのだと痛感しました。この経験を活かし、社会がどのような状況にあっても、患者さんのため、明日の医学のため、そして自分たちのために、歩み続けられる人と組織でありたいと思います。これからも、多くの若い力が集い、私たちと共に学び、世界とつながり、最先端の研究・診療を通じて、未来を築いてくれることを期待しています。

 

2022年9月
千葉大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学
千葉大学医学部附属病院長
教授 横手幸太郎

 


 

研究業績