2010年07月07日

G-COE セミナー (グローバルCOEプログラム主催)

G−COEセミナー


日時 :   平成22年7月7日(水曜日) 18時〜19時
場所 :   医学部本館1階 第3講義室
タイトル : リンパ球の機能制御と病態形成におけるサイトカインシグナル調節因子SOCS1          の役割
講師 :   小林 隆志 先生
       慶應義塾大学医学部総合医科学研究センター 特別研究准教授

セミナーの概要

SOCS1は、インターフェロンγ(IFNγ)やインターロイキン4IL-4)などのサイトカインの刺激によって誘導され、そのJAK/STATシグナル経路を遮断する細胞内シグナル調節因子である。SOCS1欠損マウスは、激しい全身性の炎症により生後3週間以内に死亡するため、リンパ球におけるSOCS1の生理的機能解析は困難であった。我々は、T細胞やB細胞で特異的にSOCS1を欠損するコンディショナルノックアウトマウスを作製し、リンパ球の機能制御と病態形成におけるSOCS1の役割を解析した。SOCS1欠損ヘルパーT細胞は、IFNγを高産生するTh1細胞への分化が亢進するが、ある種の自己免疫疾患の病態形成に重要とされるIL-17産生ヘルパーT細胞(Th17細胞)への分化は著しく抑制されていた。この抑制は、IFNγに依存的であった。さらに、T細胞特異的SOCS1欠損マウスは、Th17依存性の実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルにおいて、有意な病態軽減を示した。一方、B細胞でSOCS1が欠損すると、IL-4/STAT6シグナルの増強によるIgG1およびIgEの産生亢進がみられ、B細胞特異的SOCS1欠損マウスはアレルギー高感受性になることを見いだした。SOCS1は、T細胞とB細胞でそれぞれ異なるサイトカインシグナルを制御して自己免疫疾患やアレルギーの病態形成に重要な働きを担っていることが明らかとなった。

こちらのポスターをご覧下さい→poster.pdf

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