学生・研修医の皆様へ

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海外学会報告

2nd 3D Advanced Fiber Dissection Course in Santander, SPAIN

廣野 誠一郎 (助教)

 2018年10月26日・27日の2日間に渡り、スペイン・サンタンデールで行われた白質解剖dissection courseに参加した(Course DirectorのProf.Juan MartinoやFacultyのDr.David Matoとの個人的な繋がりで招待していただいた)。10月24日に現地入りし、翌25日はProf. Martinoのawake craniotomyの手術見学を行った。彼も2008年ごろ、まだMontpellierに来たばかりのProf. Duffauの下でレジデントをしていた経緯があり、当院で現在行なっているawake craniotomyのprotocolと基本的には同じだったが、line bisection taskをタッチパネルのPCサブモニター上でリアルタイムに計測し正常異常を判定するシステムを構築(6000ユーロ以上の費用)していたことが印象的で、ぜひ我々も開発導入したいと思った。
翌日から本コースが始まった。実際のdissectionに参加できるのは8名(1500ユーロ)、見学のみは20名(600ユーロ)で、各テーブルに卓上顕微鏡と最新式CUSA (Clarity, tissue selectモードが搭載されている)が参加者一人につき一台備え付けられており、Klingler法で固定されたbrain sample (one hemisphere)が一人一つ配られた。参加者は主にヨーロッパと北米からであった。30分ほどのミニレクチャーを聞いた後、外側面からAF, SLF, IFOF, UF, ILF, FATなどを一つ一つ剖出した。FacultyにはProf. Duffauの他、Prof. Emmanuel Mandonnet(Lariboisier, 彼もかつてDuffauのレジデントだった)が挙げられる。
 2日目は新たなspecimen(動静脈・骨・dura付き、前頭側頭開頭されているもの)が配布され、Prof. Duffauによるtransopercular approachのdemonstrationの後、各自が同様のapproachを練習した。
 過去にZurichやTourでの同様のコースに参加したことがあるが、
本コースの利点は、1、2日間で2つのhemisphereを剖出可能、2、臨床に即したtransopercular approachの実践、3、CUSA Clarity と思われる。
デメリットは、日本からのアクセスがやや悪い点が挙げられるが、何れにしても白質解剖は非常に難しく、何度も繰り返し参加して習熟することがintraaxial tumorの手術に必須であり、今後も機会を見つけて参加したいと思った。

EndoBarcelona - 8TH WORLD CONGRESS FOR ENDOSCOPIC SURGERY OF THE SKULL BASE, BRAIN AND SPAINE -

助教 堀口 健太郎 

 2018年7月5から8日までの4日間、スペイン・バルセロナのCentre Convencions Internacional de Barcelonaで開催されたので参加した。
 本学会は、神経内視鏡を用いた頭蓋底・脳・脊髄・脳室・脳血管手術に関する大きな学会の一つで、2年に1度世界の大都市を会場として開催されている比較的新しい学会である。今回も世界各地から多くの演題が採用され,非常に盛大な会であった。
 私は内視鏡経鼻頭蓋底再建に関する発表と日本の大野工業が作成している出血モデルに対するブースデモンストレーションを神戸大学の谷口先生,帝京大学の大山先生と共同して行った。
 本学会で常に痛感するのは世界のトップを走り続ける外科医は、根底にある正確な解剖学的知識を駆使しながら、手術手技を驚くほど磨き続けていることである。
 当地の建築界の巨匠であるアントニ・ガウディの言葉に『美しい形は構造的に安定している。構造は自然から学ばなければならない。』とあるが,まさに外科手術も解剖学に基づいた緻密な手術手技が理想であり、それに向かいながら手技を高め続けなければならないということをガウディの名作であるサグラダ・ファミリアを見上げながら、思いを巡らせた。
 また、普段はあまり話せない日本からの参加者と会場内外でたくさんのコミュニケーションを持つことができるのも、海外の学会に参加する有意義な点である。
 2年後はマレーシア・クアラルンプールで同学会が開催される.自己の更なる外科医としての成長を確かめるために参加する予定である。

From Pituitary to Skull Base Course

高 躍 (平成23年卒)

2017年11月27から11月30日までの4日間、イタリア・ボローニャのOspedale Bellariaで開催されたFrom Pituitary to Skull Base courseに参加してきました。これは神経内視鏡を用いた下垂体及び頭蓋底手術の若手医師の研修会です。最初の二日間はキャダバートレーニングで、残りの二日間はlive surgeryとなります。イタリア、ドイツ、オランダ、オーストリア、アメリカの下垂体外科領域の専門家たちが講演及びライブ手術を行いました。
海綿静脈洞への下垂体腫瘍浸潤分類をまとめて発表したKnosp先生からMRIによる海綿静脈洞解剖について講義されました。頭蓋咽頭腫術後管理のうち特に視床下部障害による肥満、体温変動、睡眠リズム障害について神経内科医師とコラボレーションした臨床研究の結果も発表されました。そしてBellaria病院の手術室まで手術見学をさせていただき、耳鼻科医師と脳外科医師の提携、手技の注意点、器械だしの場所、道具の配列など見させていただいてとても勉強、参考になり、自分の仕事へモチベーションも高まりました。
学会終了後にボローニャから高速電車30分程度離れたルネサンス美術発祥の地であるフィレンツェに行きました。ダ・ヴィンチやミケランジェロといった天才芸術家を生み、育てた場所で中央駅から一番離れたところまで歩いても20分程度のこぢんまりまとまっている町です。コジモ1世時代の官庁舎として使われたウフィッツィ美術館でヴィーナス誕生、春、ひわの聖母など有名絵画を拝むことができ、15世紀のイタリア芸術を肌で感じることができました。

来年も同じ場所で開催される予定となり、大学院で下垂体の研究を深めながらまた参加したいと思います。

21st World Congress on Advances in Oncology & 19th International Symposium on Molecular Medicine

足立 明彦 (助教)

 2016年10月6〜8日の3日間に渡り、ギリシャにて上記国際学会が開かれた。報告者らは昨年、重粒子線治療後に誘発された二次性腫瘍の初の臨床症例(症例①:外耳道癌に対する照射後に発生した海綿状血管腫)について報告した。本年は、上顎洞未分化癌に対する重粒子線照射後に発生した頬骨骨肉腫(症例②)を経験し、昨年度の経験および耳鼻咽喉頭頸部外科での生検結果から摘出術前に誘発腫瘍であることが判明していたため、詳細な解析も準備・施行できたので、その結果を発表した。昨年はBrain tumorセッションでの発表であったが、本年はMolecular oncologyセッションでの発表で、同セッションではアメリカ・イタリア・ドイツ・中国・日本から基礎研究を中心とし計10名の発表が行われ、多いに議論を交わすことができた。

重粒子線照射後の二次性腫瘍発生に関しては、過去にはマウスを用いた報告があるのみ(Ando, J Radiat Res 2005)であったが、基礎研究で示されているような二重鎖切断による転座や欠失(Ritter, Mutat Res 2010)が臨床症例においても生じていることを我々はG-band染色およびmulticolor FISHにて証明した。
症例①の頭蓋内海綿状血管腫は有病率も出血率も高いにも関わらず、大多数を占める孤発例での原因遺伝子は不明(Kovac, NatCom 2015)であり、また症例②の骨肉腫は転移を来しやすいことから予後が悪く、これらの疾患の遺伝子特定が治療に直結する研究に与える可能性は大きく、臨床面での意義も高い。
 今後ここまでの経験は臨床系国際誌に投稿予定であるが、将来的には染色体異常部位の精査(塩基配列決定)により融合遺伝子の有無を確認し、新規がん関連遺伝子の発見を目指したい。
This work was supported by “Chiba University, research promotion organization, research support planning force: 2016 research grand acquisition program (diverse type A)”. I am also grateful to Dr. Jun Richard Nomiyama for assistance with the numerical simulations.

ENDOCHICAGO - 7TH WORLD CONGRESS FOR ENDOSCOPIC SURGERY OF THE SKULL BASE AND BRAIN -

助教 石渡 規生 (平成17年卒)

 2016年5月15から18日までの4日間、アメリカ・シカゴのSWISSOTEL CHICAGOで開催された学会に、当科の堀口医師と参加してきました。これは、神経内視鏡を用いた頭蓋底・脳・脳室・脳血管手術に関する大きな学会の一つで、2年に1度欧米の一大都市を会場として開催されます。今回も世界42か国から230名以上のfacultyが招待され、400以上の口演、200以上のポスター演題が集まる非常に盛大な会でした。
 私の演題は、頭蓋底再建に用いる鼻中隔粘膜弁への栄養血管の評価に関するポスター発表でしたが、大きな問題無く、無事に終えることができました。更に各分野で世界のトップを走る医師達の手術や臨床研究に関する発表をたっぷりと見聞きすることができ、一流のレベルがどのようなものかを知ると共に私の仕事へのモチベーションが多いに高まりました。また、日本や海外からの参加者と会場内外でたくさんのコミュニケーションを持つことができ、自分の世界を拡げることができたことも非常に有意義であったと思っています。
 私は学会出張の度に、その土地を少しでも良く知りたいという思いから早起きしてジョギングを行うことが習慣となっており、今回もセッション前に実行しました。シカゴ中心部を端的に表現すると「人工物と自然が調和したとても気持ちの良い街」。ランニング(もしくはサイクリング)のためにミシガン湖岸に数十キロに渡り綺麗に整備された道は、緯度の高い涼しい気候と相まってとても走りやすく、立ち並ぶ新旧の高層ビルの偉容と海のように広大な湖が織りなす迫力ある背景に、公園に差し掛かれば野鳥やリスが元気良く飛び出してくる・・・。学会とは別に、これも貴重な経験でした。
 2年後はスペイン・バルセロナで同学会が開催されるとのことで、それまでに自己研鑽を積み、良い発表ができるように研究を行って是非また参加したいと思います。

IFNE-JSNE Hands-on workshop on cerebral and ventricular neuroendoscopy

瀬戸口 大毅 (平成19年卒)

2016年1月25日から27日間、イタリアで開催された神経内視鏡ハンズオンワークショップに参加してきましたのでご報告致します。会場はナポリにあるCardarelli Hospitalで、ナポリ中心街からは送迎バスで30分程度行った内陸に位置していました。会は基本的に3部構成となっていて、午前中は一般的な疾患に関する講義、午後に内視鏡モデルやラットを用いた実習、その後症例検討会という流れになっており、3日間基本的に同様の形式で進められました。当院の村井医師、順天堂大学病院の宮嶋雅一医師をはじめ、地元イタリアや近隣ヨーロッパ圏、南米(今年から参加)や中東圏の先生など、世界中各国の先生方にご指導頂きました。

講義:小児外科の医師が多い関係で小児疾患に関連する内容が多く、馴染みが薄い疾患も多々ありましたが、基本的に初学者向けの講義であり、わかりやすい講義でした。

ハンズオン:前半の内視鏡モデルを用いた実習では、第三脳室底開窓術、中隔穿孔など、後半のラットモデルを用いた実習は、レーザーやキューサーを用い、凝固止血や切開法などを学びました。

世界では硬性鏡がスタンダードであるのか、軟性鏡は1ブースしか設置されておらず、基本的に硬性鏡で実習を行いました。普段、硬性鏡を触る機会が殆どないため、大変良い機会となりました。基本的に2人1グループとなり、そこに1人の講師がつき実習を行いますが、時間が経つと散り散りになり、皆、わかりやすい講師、興味あるブースに行き質問している感じでした。多くのブースがある中での1番人気は、村井先生/宮嶋先生の”Japanese booth”であり、コーヒーゼリーとコーンスターチを用いた血腫除去モデルでの実習は常に人だかりができていました。

3日間、午前8時から午後7時までの過密スケジュールであり、宿舎に戻った後も翌日の実習の準備があり、身体的にはかなりハードでありましたが、外国語での実習中のコミュニケーションの難しさ、硬性鏡の扱い、また常に”一工夫”することの大切さなどを身を持って体験でき有意義な時間となりました。

20th World Congress on Advances in Oncology & 18th International Symposium on Molecular Medicine

足立 明彦 (助教)

2015年10月8〜10日の3日間に渡り、ギリシャにて上記国際学会が開かれた。報告者は、自由テーマでの発表招待を受け、国内学会にて発表していたものの英語では未報告であった重粒子線治療後の二次性腫瘍発生(頭蓋内海綿状血管腫)の初の臨床症例を報告することとしたところ、Brain Tumor Sessionでのco-chairの依頼があり、ニューヨーク医科大のJeanwean Unyiyal教授(写真)と共に座長を務めることとなった。
 我々は以前より頭頚部腫瘍に対する放射線照射後の副作用につき臨床面から報告(Adachi et al, Jpn J Neurosurgery 2011, JNET 2011)を行ってきており、今回、重粒子線治療後に出現する病変として、放射線壊死や腫瘍再発・転移の他に、二次性腫瘍の発生にも留意する必要があることを示した。千葉大病院脳外科は、今までも放射線医学総合研究所(放医研)と共同研究を行ってきたが、このたび重粒子線治療を行った後に発生した初の二次性腫瘍の臨床例を経験し、当科にて加療を行い報告した。重粒子線治療後の二次性脳腫瘍発生に関しては過去にはマウスを用いた報告が3例あるのみで、細胞実験レベルでの基礎研究は成されているものの、実際の臨床例での報告は過去になく、人体内で起きた反応の確認は今後の安全な治療計画のためにも必要と考えられた。
 学会初日の発表の中に重粒子線の皮膚にあたえる副作用の研究をされているフランスのLerau教授からの発表があった。ハドロン療法の大家であるARCHADEのLerau教授は事前に今回学会の抄録集を読まれていたようで、他のドイツの放射線研究者からの、急性反応以外の慢性副作用に関して、腫瘍発生の可能性を問う質疑応答の中で、早速に『重粒子線治療後には、二次性腫瘍発生に関しては日本から海面状血管腫の報告が1例あるだけで、他に過去に報告はない』と報告者の発表内容を引用されており、今回、本症例を海外にて提示することにした意義を感じた。
 報告者が演者および座長を務めるセッションは3日目に行われた。てんかん源性のため摘出した二次性脳腫瘍の病理は原疾患(外耳道癌:扁平上皮がん)とは全く異なる海綿状血管腫であり、周囲脳には硝子化などの放射線誘発性変化を伴っており、これら複数の病理所見より重粒子線により発生した腫瘍であることを明確に示した。質疑応答では計4名から質問を受けた。うち1つは機序に関しての質問で『今までの基礎研究からの報告にあるようにDouble strand breakによる関連遺伝子の変異が考えられるが、適切な助成金が得られれば今後、染色体分析やDNA sequenceなどにて解明を行ってゆきたい』と返答した。
 座長としては、早口の質問者の意図を判り易くユックリと演者に伝え直したり、他の質問者がいる状態でも適宜果敢に質問を投げかけ議論の筋道を整えたり不明瞭な点を明確化してゆく積極的な姿勢をはじめ、共同座長のJeanwean Unyiyal教授から学ぶことが非常に多かった。
 本発表は、平成27年度千葉大学国際交流公募事業: 若手教職員・研究者の海外派遣支援プログラムの支援を受けたものであり、この場を借りて謝意を表したい。

Hydrocephalus 2015 参会報告

辛 寿全 (平成21年卒)

左から村井先生、東北大学 森悦郎先生、筆者

 2015年9月18日から21日にかけてカナダのバンフにて開催されたHydrocephalus 2015に村井先生と参加してきました。今回が7回目の水頭症に焦点をあてた国際学会です。学会の規模としては400人程度で、アメリカ、スウェーデン、カナダからの参加者が多く、分野としては脳神経外科、神経内科、精神科医、リハビリテーション医、co-medicalなどから幅広く参加されていました。2015年6月にLancet neurologyにSINPHONI Ⅱの結果が発表されました。日本からは本研究に携わられた、順天堂大学、大阪大学 精神科、東北大学からの先生方も参加されていました。

今回私はポスタープレゼンテーションでの発表でした。2分間というわずかな時間の発表でしたが、英語でのプレゼンテーションの難しさを痛感させられました。

他の口演では水頭症に関連したバイオマーカーや画像診断などが印象的でした。ただ一番気を引かれたのは水頭症とは直接関係ありませんが、カルガリー大学の先生が口演されていたニューロアームについてでした。ニューロアームというのは脳外科領域で現在試験段階で使われている手術ロボットで、かなりの症例数をこなしており、手の感覚なども振動などで再現しているとのことでした。今後脳外科領域でもロボット手術が普及してくるのも遠い未来ではないと感じました。

最後に今回このような機会をくださった村井先生、ならびに留守中にご迷惑をかけたの病棟医の先生方どうもありがとうございました!

2015 International Congress of Korean Society of Otorhinolaryngology-Head & Neck Surgery 参会報告

千葉大学大学院医学研究院 助教 石渡 規生

 2015年4月24日〜26日の3日間、ソウルのGrand Hilton Hotel Seoulを会場とした2015 International Congress of Korean Society of Otorhinolaryngology-Head & Neck Surgeryに参加しました。韓国の耳鼻咽喉科学会が主催のコングレスでしたが、頭蓋底外科の分野で当科の堀口医師がInternational facultyとして招待され、そこに同行する形で辛医師と私(石渡)も国際学会で発表をするという貴重な機会を得ることができました。学会は韓国を中心に日本、中国などのアジア圏、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポールなどの東南アジア、アメリカ、オランダ、ドイツなどの欧米やインド、エジプト、ブラジルなど多くの国からの多数の参加者が集まっていました。大小、ポスター会場も合わせて13会場という、さすが国際学会というような大規模なもので、セッションの内容は、rhinologyやotologyといった耳鼻咽喉科の専門分野はもちろん、我々の発表したskull base surgeryの分野、plastic surgery, robotic surgeryなど最新の知見も含んだ興味深い分野のセッションもあり、知的好奇心を大いに刺激されました。

 今回私は、国際学会の一般口演という形で初めて発表をさせていただきましたが、国内学会での発表では味わったことのない大きな達成感と、英語でのプレゼンテーションにおける己の未熟さに対する落胆の気持ちとが合わさった一種複雑な気分で参会を終えました。今後の診療および研究の方向性に非常に良い影響を受けた3日間でした。

 尚、学会のわずかな合間ではありましたが、韓国・ソウルの史跡や本場の料理を堪能し、更なる国際学会の素晴らしさを痛感。今後再びこのような機会をいただけるようでしたら、是非積極的に海外に進出したいと思います。

IFNE-JSNE Hands-on workshop on cerebral and ventricular neuroendoscopy

中野 茂樹 (平成20年卒)

 2015年1月26日から27日までの3日間、イタリア・ナポリのAntonio Cardarelli病院にてIFNE-JSNE Hands-on workshop on cerebral and ventricular neuroendoscopyが開催されました。本学からは村井尚之先生が講師として招かれ、これに同行する形で私(中野)も参加させて頂きました。講師の先生方はイタリア、ドイツ、フランス、トルコ等のヨーロッパ各国に加えてシンガポール、日本など様々な国から合計24名が招かれており、これに対して主にヨーロッパから29名の受講生が参加していました。
 セミナーでは朝8時から各疾患についての講義が始まり、午前中の後半はモデルを用いたハンズオン、昼食後から夕方までラットを用いたハンズオンを行った後、夜19時までがビデオ等を用いたケースカンファレンスというスケジュールを3日間行うという非常に内容の濃いものでした。
 モデルを用いた実習では硬性鏡のセットアップから基本的な脳室内観察、内視鏡下頭蓋内血腫除去を指導して頂きました。自分は英語がさほど流暢ではないのですが、非常に丁寧に根気よくご指導頂き理解を深めることができました。

 ラットを用いた実習はラットの腹腔を脳室内に見立て肝臓を鉗子で生検したり、choroid cystに見立てた膀胱を切除するという実戦的な内容でした。初日は操作に難渋する場面もありましたが、3日間繰り返すことで最終日にはなんとかcystを切除することができました。村井先生をはじめとする日本人の先生方は、ゼリーを使用したモデルを用いて内視鏡下頭蓋内血腫除去術のハンズオンを指導されておりました。ヨーロッパ各国では内視鏡下の血腫除去は行われていないため多くの参加者から興味を集め、講師の先生自らも実習されていました。
 今回のセミナーでは様々な国の先生方からレクチャーを受けることができましたが、内視鏡を一つのデバイスとして捉え、経鼻/経脳室といった神経内視鏡と顕微鏡を状況に応じて柔軟に使い分けたり、あるいは併用している姿が非常に印象的でした。またビデオスコープはヨーロッパをはじめとする海外では導入されておらず、ビデオスコープを使用した脳室内操作は日本の特徴であるということも実感することができました。
 このような機会を与えて下さった村井先生をはじめ、留守中にご迷惑をおかけした病棟医の皆様にはこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。

The 1st Asia-Pacific Advanced Intracranial Neuroendoscopy and The 5th Transsphenoidal Surgery Workshop

野村 亮太 (平成18年卒)

 2012年2月9日から11日までの3日間、韓国ソウルにある延世大学(Yonsei University)でThe 1st Asia-Pacific Advanced Intracranial Neuroendoscopy and The 5th Transsphenoidal Surgery Workshopが開催されました。
  本学からは佐伯教授が経鼻内視鏡下頭蓋底手術の分野で講師として招かれ、池上史郎先生と私(野村)がworkshopに参加致しました。参加者は韓国をはじめ、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどアジア各国にわたり、総勢20名ほどでした。

 最初の2日間は Risch教授によるkeyhole surgery のdemonstrationと実習で、最終日は佐伯教授による内視鏡下経蝶形骨洞手術のdemonstrationと実習でした。Risch教授は基本的にendoscope-assisted microsurgeryの立場であり、内視鏡操作はあくまでも観察とアプローチの剥離操作の一部までであり、実際の摘出操作などは顕微鏡下に行っていました。開頭はバーホール2つ分くらいで、普段苦労して到達する頭蓋底領域に、いとも簡単に、そして何より短時間で到達できるのは大きなメリットであると感じました。また、この手術は、顕微鏡では観察しづらい深い術野を内視鏡を併用することで詳細に把握できるという点で、両者の利点を最大限に生かした手術法であると言えます。我々からすると、くも膜下出血の急性期クリッピング術をkeyhole surgeryで行うのには正直驚きましたが、症例をよく検討しstep by stepで日々の臨床に応用できればと思いました

 延世大学は国内外から多くの患者が集まる2,000床クラスの大病院で、敷地内には大規模な専門病棟がいくつも建ち並び、日本にはない規模で診療が行われています。世界に認められるものを発信するという明確なポリシーを持ち、それを実践していくKorean powerを肌で感じました。
  2月のソウルは朝晩の冷え込みが非常に厳しく(氷点下10°くらい)、tightなスケジュールでしたが、夜は焼肉、参鶏湯などKorean foodを堪能し、パワーを養うことができました。出張中サポートして下さった病棟医の皆さま、本当にありがとうございました。

Albert L. Rhoton Jr.教授40周年記念式典に参加して

千葉大学大学院医学研究院 医員・大学院生 田島洋佑(平成17年卒)

 2012年1月27日、28日にフロリダ大学(フロリダ大学脳神経外科にリンクhttp://www.neurosurgery.ufl.edu/)にて行なわれた、Albert L. Rhoton Jr.教授の大学勤務40周年記念学会及びパーティに佐伯直勝教授と共に参加してきました。Rhoton教授は脳外科医で知らない人はいないであろう微小解剖の権威であり、その教科書は世界各国で読まれていると言っても過言ではありません。Rhoton教授は40年間で98人の留学生を受け入れてきており、その内日本人が30人あまりを占めているそうです。佐伯教授は記念すべき日本人留学生第一号であり、その縁もあり40周年パーティへの招待があったわけです。

 まずフロリダという場所についてですが、アメリカ大陸東南部に位置し、日本との時差は-14時間、熱帯気候であり冬でも最高気温は25度を超える日もあります。学会が行なわれるフロリダ大学はゲインズビル空港からタクシーで20分程度の位置にあります。大学構内は非常に広大であり、学生数5万人を超える総合大学です。構内に湖がありますが、そこには野生のワニがいるそうです(私たちは見ることができませんでした)。更に大学構内にはヒルトンホテルが入っており、今回のパーティの会場にもなっていました。
  初日の朝は6時集合で、シャトルバスで学会会場に向かいました。軽食を食べた後、7時過ぎから学会が始まりました。この学会の趣旨は、Rhoton教授の下で研修し各分野でご活躍されている卒業生たちが、留学時に学んだことと、現在の仕事の報告を行なうといったものでした。日本からは佐賀大学の松島俊夫教授がご発表されていました。学会の発表自体は真新しいものではありませんでしたが、それぞれがRhoton教授との思い出、感謝の念を強調している点が非常に印象的でした。
  午後はフロリダ大学の研究施設及び大学病院の見学を行いました。現在Rhoton教授は3Dの教科書作成に尽力されているとのことでした。印象的だったのが、教科書や論文の作画を専門とするメディカルイラストレーターがいることや、臨床データをまとめる専門のリサーチャーが3人もいることでした。医師が研究に集中できる環境にあることを非常に羨ましく感じました。
  2日目の朝は7時集合で、同様にバスで会場に向かいました。大学院生の発表が中心で、医療費についての発表や、夜間PHSにかかってくる電話の内容の発表等が多く、通常の臨床成績についての発表が少なかったことに、日本とアメリカの医療事情の違いを垣間見た気がします。
そして夜にはヒルトンホテルにてRhoton教授の40周年記念パーティが行なわれました。Rhoton教授の御家族もいらしていたのですが、家族全員が医療関係者であることには驚きました。

 2日間学会に参加させて頂き感じたことは何よりスケールの大きさです。広大な敷地に、莫大な数の学生、そして研究員。このような環境で研究、仕事ができれば本当に楽しいだろうと思うと同時に、アメリカで行なわれていることを日本で真似しても到底追いつけないと痛感しました。今回参加できたことで、これから更なる技術・知識を身につけるための努力をしていこうと決意を固めることができました。このような機会を与えて下さった佐伯教授、教室の皆様に非常に感謝申し上げます。