留学便り

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National Institutes of Health (NIH)

大矢佳寛 (Yoshihiro Oya, MD, PhD)
Laboratory of Immunology, NIAID, NIH

 大学院生の時はTリンパ球の副刺激分子による免疫抑制について研究する機会に恵まれました。その後、制御性T細胞による免疫抑制に興味を持ち、2009年12月より米国、国立衛生研究所(NIH,NIAID,Laboratory of Immunology)の制御性T細胞の研究室に研究留学しております。いつも親身になって実験の相談に乗ってくれるボス、優秀なテクニシャン、メンバーに囲まれとても有意義な研究生活を送らせて頂いております。いつの日か制御性T細胞が自己免疫疾患の治療に使われることを夢見て、今はマウスを使った基礎研究に明け暮れております。写真はNIHの北側に広がる景色です。首都DC近郊とはいえ、キャンパスは緑豊かな大自然に囲まれています。

若新英史 (Hidehumi Wakashin, MD, PhD)
Kidney Disease Branch, NIDDK, NIH

 私はNIH,NIDDKのKidney Disease Branchに留学中です。巣状糸球体硬化症が専門の臨床の教室ですが小さいラボがあります。ラボではポドサイトにフォーカスした基礎研究をしています。ポドサイトは糸球体を形成している高度に分化した細胞で、血漿の濾過膜(スリット膜)を形成しています。ポドサイト障害により細胞数減少や繊維化(糸球体のリモデリング)が生じ腎機能低下につながります。現在私は、人種差により腎障害進展の違いが生じる機構、ポドサイトの転写因子の機能解明についてマウスや培養細胞を用いた研究を行っています。

目黒和行(Kazuyuki Meguro, MD, PhD)

 私は2017年5月より米国National Institutes of Health (NIH) に留学に来ています。NIHは27の研究所を擁する全米最大の医学研究機関で、各地にキャンパスがありますが、最も大きなキャンパスはワシントンDC郊外、メリーランド州東部に位置するベセスダキャンパスです。自然豊かなキャンパスで、歩いているとグースや鹿に出会うこともあります。

 私の所属する研究室はNational Institute of Allergy and Infectious Diseases(アレルギー感染症研究所)のヒト免疫疾患研究ユニットです。免疫学研究ではこれまでノックアウトマウスなどを利用した動物モデルでの研究が主流でしたが、最近はヒトゲノムシークエンス技術の発達、ゲノム編集技術の確立、iPS細胞樹立、培養技術の普及などの技術的な後押しを受けて、ヒト免疫学が発達してきています。私達の研究室では、幼少期から重篤な免疫疾患を多発する家系を対象に、全ゲノムシークエンスにより遺伝情報を網羅的に解析し、原因遺伝子の同定、発症メカニズムの解明を行っています。私はこのような手法でヒトにおける免疫関連遺伝子と病気の関係 を明らかにし 、将来的には関節リウマチや気管支喘息、アレルギー疾患など患者さんの数が多い疾患のメカニズム解明、新規治療法の開発につなげることを目標に研究を行っています。ヒト免疫学は予想していた以上にエキサイティングで、毎日充実した研究生活を送っています。

 NIHの良いところは、世界中から多くの分野の研究者が集まっており、共同研究を行いやすいことです。また、臨床と研究の距離が近く、研究に必要な検体の入手が行いやすいことなどもとても良い環境だと思います。

最後に留学先探しに尽力してくださった中島教授(NIH留学の先輩でもあります)、留学を応援してくださっている医局の皆さまにこの場を借りて感謝申し上げます。