留学便り

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Washington University School of Medicine

岩田有史(Arifumi Iwata, MD, Ph.D)
Pathology & Immunology, Washington University School of Medicine

 こんにちは。平成13年卒の岩田有史です。2013年1月からアメリカ、ミズーリ州セントルイスにあるWashington University in St LouisのKenneth Murphy Labに留学しています。セントルイスは直行便もなく、あまり日本人にはなじみのない都市だと思いますが、MLBのセントルイスカージナルス、バドワイザーの会社であるアンハイザー・ブッシュ、また我々のなじみの深いシグマ・アルドリッチ、そして悪名高きモンサントなどが本拠地としている中西部の主要都市です。皆のんびりとしていて穏やかで優しい雰囲気を作っています。PI(日本で言う教授)のKenは、普段は鼻歌を歌いながらみんなのテーブルを回って、実験結果を議論したり免疫学について語ったりするとても陽気なアメリカ人ですが、サイエンスに対する熱い姿勢からさまざまなことを学ばせていただいています。たとえば、会ってそうそう"Understand everything"と言われ、ある分子とある分子が競合しているのではと提案すると"You are dreaming. What is specific question? What is physical interpretation?"と言われました。Specific questionを定めなければ、なんちゃってのポジコン・ネガコンから都合のいい結果が見えるだけで、真実にはたどり着けないということらしいです。Kenの研究室では「樹状細胞サブセットごとに誘導できる免疫応答が異なり、適切な免疫応答は適切な樹状細胞サブセットの活性化から誘導される。」という説に基づき「転写因子による樹状細胞サブセットの分化の解明と適切な免疫応答の誘導」を主題に、さまざまな転写因子をターゲットに研究を行われています。僕はそのうちのひとつの転写因子のメカニズムを毎日一喜一憂しながら解析しています。失敗してばかりなので一喜百憂くらいですが・・・

 アメリカに来て1年とちょっと、居酒屋とラーメンと温泉旅館が恋しくなってきましたが、もう少しこちらでがんばっていきたいと思います。