このたび、2025年7月1日付で千葉大学医学研究院・疾患生命医学と cNIVR 動物病態学の教授を拝命いたしました。
これまで、東京大学大学院理学系研究科で博士号を取得した後、米国 Dana-Farber Cancer Institute、東京大学分子細胞生物学研究所、慶應義塾大学医学部を経て、熊本大学発生医学研究所において教授を務め、さまざまな場で研究の経験を積んでまいりました。
私たちの研究室では、マウス分子遺伝学を中心に、タンパク質精製や質量分析、次世代シークエンサーを使ったオミクス解析を組み合わせ、生殖細胞の発生や減数分裂の仕組みに迫る研究を行ってきました。これからも新しい挑戦を大切にしながら、研究を進めていきたいと思います。
これまで、助教や講師といった任期付きの研究職を長く経験してきたこともあり、研究を継続できる「職」を得ることの重みと有り難さを、常に実感してまいりました。マックス・ウェーバーの著書『職業としての学問』(岩波文庫訳)には次のような一節があります。
「学者にとって職業としての学問は、就職および昇進において『僥倖』に支配されている……」。大学における職の獲得は、思いもよらぬ偶然に支えられており、その中で他者の昇進や就職を横目にしながらも、精神を律し学問に専心できるかどうかが、職業としての学問を支える資質である——。100年以上前に記されたこの言葉は、これまでの私自身の境遇とも重なり、深い共感を覚えます。そして今回の医学研究院への着任も、まさに「僥倖」であり、得がたい機会をいただいたと強く感じております。
今後は、大学院生の教育に真摯に取り組み、若手研究者の育成にも力を尽くしたいと考えております。また、動物実験施設の管理運営にも責任を持って努めてまいります。引き続きご指導とご鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2025年7月1日
経歴
1995年 東京大学・理学部・生物化学科 卒業 2000年 東京大学大学院・理学系研究科 修了 博士(理学) 2000-2005年 Dana-Farber Cancer Institute/Harvard Medical School ポスドク研究員 2005-2013年 東京大学 分子細胞生物学研究所 2014-2016年 慶應義塾大学医学部 2016-2020年 熊本大学 発生医学研究所 独立准教授 2020-2025年 熊本大学 発生医学研究所 教授 2025年 千葉大学 大学院医学研究院 教授
受賞
2022年度アステラス病態代謝研究会 最優秀理事長賞 2022年10月15日 生殖細胞における減数分裂の制御機構と不妊原因の解明
令和4年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門) 2022年4月8日 生殖細胞における減数分裂誘導機構の研究
井上科学振興財団 第38回井上学術賞 2021年12月13日 体細胞分裂から減数分裂への細胞周期切替え機構の解明
熊本医学会 令和元年度熊本医学会奨励賞 2020年3月18日 生殖細胞の減数分裂に関する研究