病気について

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混合性結合組織病

はじめに

 混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease:MCTD)は、全身性エリテマトーデス(SLE)様、強皮症様、多発性筋炎様の症状が混在し、かつ血液検査で抗U1-RNP抗体が認められる疾患で、特定疾患に指定されています。

 肺高血圧症が予後を左右する大事な合併症です。

 原因は他の膠原病と同様に不明で、国内に約7000人の患者がおり、男女比は1:15で女性に多く、30~40歳台の発症が多く見られます。

混合性結合組織病の症状

  1. レイノー現象
    MCTDのほぼ全ての患者さんにみられ、しかも初発症状であることが多いのがレイノー症状です。
    これは寒冷刺激や精神的緊張により血管が攣縮(血管が一時的に細くなる)し、皮膚の白色→紫色→紅色という3色の色調変化(2色のこともあります)を伴う現象です。
  2. 手指手背の腫脹
    手背から手指にかけて腫れぼったくなります。
    約80%の患者さんに出現し、MCTDに特徴的な症状と言われています。
  3. SLE様症状
    SLEに似た症状として、発熱・顔面紅斑・リンパ節腫脹・多発関節炎・白血球減少・漿膜炎等が見られます。
  4. 強皮症様症状
    強皮症に似た症状として、手指の腫脹・肺線維症(間質性肺炎)・食道運動機能の低下が多く見られます。
    肺線維症では空咳や息切れ、食道機能の低下では胸焼けや飲み込みにくさが見られます。
  5. 筋炎様症状
    体幹に近い上下肢の筋力低下や筋痛、しゃがみ立ちや階段昇降がしづらくなる、重い荷物を持ち上げられない、などの症状が出現します。血液検査では血中のCK(CPK)、GOT(AST)、LDHなど筋肉に含まれる酵素が上昇します。*(3)?(5)の症状は全てが出現するわけではありません。
  6. 肺高血圧症
    合併率は5%程度ですが、十分な経過観察が必要な病態です。
    労作時息切れ、疲れやすさ、胸痛(胸骨後部痛)が出現し、心不全を生じます。
    これらの他に、MCTDの患者さんの約1割に無菌性髄膜炎や三叉神経痛が見られます。

治療

症状や重症度に応じた、副腎皮質ステロイド薬を中心とする薬物療法が基本となります。頻度の多いレイノー現象と重篤な合併症である肺高血圧症の治療に関して説明します。

  1. レイノー現象
    手袋や靴下による保温や禁煙を心がけて下さい。
    症状がひどい場合には血管拡張薬(カルシウム拮抗薬、ビタミンE、プロスタグランジン製剤)が用いられます。
  2. 肺高血圧症
    初期にはステロイド大量投与を行うこともあります。
    他にカルシウム拮抗薬、経口プロスタサイクリン誘導体、プロスタサイクリン持続点滴静注、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、在宅酸素療法などが行われます。

予後

 SLE・筋炎様症状はステロイド治療が良く効きますが、レイノー現象や強皮症様症状にはあまり効きません。

 またMCTDは5年生存率95%と高く、一般的に予後は良いとされる疾患です。